WHITE ALBUM2(アニメ)見た

先日冴えカノを全部見てとても気に入ったので、原作者買いではないけれども丸戸氏の過去作品を見てみることとしました。

ギャルゲの名作WHITE ALBUM2(しかしプレイはしたことがない)を原作とする本作。2013年放送、全13話。

 

whitealbum2.jp

 

感想...苦しい。

 

以下ネタバレ有りでお送りします。

 

 

 

ストーリー展開が苦しい、いや違う。

単に品質が苦しいのである。

Amazonレビューの原作ファンの高評価とは裏腹に、正直苦しい。

現に7話の文化祭で一旦視聴を離脱した。

 

作画

レールガン2期、のんのんびよりが同世代と考えると、線画や色合いや動きの硬さが目立つ。2008年頃のアニメに見受けられた「全体にぼやけてる感」「グローがかかっている感」もあって、2013年放送の事実に比して古さを感じてしまった。*1

個人的に最も問題だと思うのは学園祭のライブシーン。1話でフリをしておいて、青春群像的な経緯を描き7話で文化祭。そして7話を境に雪菜と付き合うのかかずさに浮気するのか、揺れ動くドゥルドゥルストーリーに変貌する。

ともかく7話ライブはストーリー上のマイルストーンとなる場所で、見せ場に違いない。

 

しかしまったく動かなくてぜんぜんたぎらないの。

 

文化祭ものでいえば2006年のハルヒ、2008年・2010年のけいおん、2010年のAngel Beats!。アイドルシーンだって2011年のアイマス、同年の2013年にはラブライブ1期。

ライブシーンは時代を経て進化、視聴者の心を掴んで盛り上がりを見せた。ライブが見れると聞けば次もぜひと期待もする。これは作り手も当然認識しているはずである。

しかし全然動かないの。

上述した作品と比べて予算とかまるで違うかもしれないけれど、それでも登場人物の記憶にはこびりついて離れない重要なシーンで、ヒロインは音に乗せて恋のバトルしてるんだから、もっと気合を入れてほしかった。止め絵や他のシーンを差し込んでお茶を濁したりの省力化も見られたが、これだけならならまだしも舞台のパースもなんか狂ってていろいろサイズ感おかしいし、全体になんだかなぁって感じだった。

 

演出

主に7話までの文化祭に向けて練習するシーンについて述べたい。

一番の問題は音がけっこう雑に扱われることがあり、映像・ストーリー先行でとにかく24分の尺にはめ込んだ感じのせいでカットごとの余韻が少ないこと。例として4話のかずさと雪菜の練習を垣間見るシーンは数秒で歌がフェードイン&フェードアウト、しかも隣の部屋で聞いてるのになぜかトリキリレベル。このカットの真意は謎。FI/FOでガンガンシーンが切り替わるので、後述の駆け足感をもたらす要因になっている気がする。

また、しっとり見せる本作では劇伴が控えめで練習の音声がどうしても際立つのに、同じフレーズを使いまわしているため見ている側としては食傷気味になってくる。ヤマダ電機の店内で無限に流れるテーマソングじゃないんだから。練習中だから決してうまいわけではないし。文化祭の演奏曲は「WHITE ALBUM」と決まっていて、それを練習しているのはわかる。けれども尺にはめ込んだ点についてはゆずるからせめて、「WHITE ALBUM」の別フレーズも流すなどしてほしかった。

 

ストーリー

アニメ化された高校生編は原作のさわり部分だけだという。さもありなん。13話で一応オチはつけているけど、大筋ではぶつ切り感があった。途中もストーリーがかなり端折られて駆け足に感じたんだが、原作プレイされた方、いかがだろうか。もしかしたら1クールで高校卒業までというゴールのせいなのかとも思う。もし2クールを使えるなら文化祭は10~11話くらいになっただろうし(もちろんゴールは高校卒業ではないかもしれない)、あるいは文化祭までで一旦1期を締めてしまったほうが、本作前半の異様な余韻のなさから見ればマシな気もした。*2

例えば4話の特訓シーンは、余韻なく唐突に次のカットに移ってベンベケギターを引っ掻きはじめていて置いてけぼりをくらった印象が強い。一応時計によって時間の遷移は明示されていたがそういうことじゃないんだよなぁ。難しいけどさあ。仲間集めに3話もかかるのに、続く6話までの3話で雪菜と関係を深めつつライブの練習というのが、話の進度にムラを生んで駆け足感を助長している気がする。

個人的には文化祭までのくだりをもっと丁寧な描写で見たかった。

一方で8話以降で徐々に不穏な雰囲気になっていく流れは見事だった。かずさにほだされて浮気キスに及ぶ11話は背徳感を感じる・・・というか、ともかくかずさの純情を反故にするベロチューがまずい。なんでこんな安易に泥沼にうずもれるんだ春希くんよ。最終的にはこのまま3人が宙ぶらりん状態で終わっちゃうから悲しい。多分もっと続きを見れればもっとハマれそう。

もともと2期をにらんだ脚本にしていたが大人の事情で作れず、本作だけ見るとなんか釈然としない感じに思えてしまった(マジで冴えカノは2期あってよかったなぁ)。1クール12話の縛りに翻弄されたせいとも言えないかなぁ。15~16話くらいで収まりが良さそうだから・・・。

 

 

1のアニメも見て生「ここがあの女のハウスね」を聞こうと思います。いじょうです。

*1:2010年頃に比べて2020年現在のアニメは高精細な線画でできている。業界の詳しいところはわからないが、2012~2014年頃にかけて、制作状況が変化した?かつては720p制作とよく言われていたが、今は1080pオーバーで作ってる品質よね・・・

*2:公式ページのインタビューを見ると、逆に高校卒業までを素直にやると1クールに足りないらしい。ではなぜこんなことに・・・。