音楽で星満点になるBLUE REFLECTION TIE/帝

何で見かけたのとかまったく覚えてないけれども、ビジュアルに心惹かれて 以前から気になっていたBLUE REFLECTION TIE/帝 をプレイしてみた。Amazonのセールで恐ろしく安くなっていたことがきっかけ。

 

bluereflection-tie.com

ゲームのそれぞれの要素が強く刺さったわけではないけれど、総合的に良いゲーム体験をしたなぁという気持ちです。そこでゲームのレビューというより、ゲームをプレイしててなんとなく思ったことを書いてみようと思います。

ゲーム進行上の致命的なネタバレはありません。

 

最近のプレイ事情

わが家には抽選に打ち勝って購入したPS5があるというのに、まだPS5専売のゲームを遊んでいません。

しかも最近やっていたのは、SwitchのスーファミオンラインでやるMOTHER2とかクロノ・トリガーであって、どちらもストーリーはもとより音楽が心に残る作品だった。クロノ・トリガーの風の憧憬を初めて聞いたときには、とんでもない場所に来てしまった寂寥感とともに、聞いたことあるあの曲だ!という符合感も湧いてきた。

MOTHER2も8melodiesの名曲たるゆえん=テキストとの雰囲気の融合=がわかったし、長い冒険を終えてやっぱり家に帰ってくるという流れはいいプレイ後感でした。

そんな中で、前から岸田メルのイラストが割と好き&なんだか雰囲気のよいゲームがあるらしいと聞いて買ってみたのが本作というわけです。

 

ゲームをかいつまんでおくと

ストーリー展開

王道セカイ系。海の中にぽつんと学校だけが存在する世界に、なにかに因果で迷い込んだ主人公・愛央。そこには記憶をなくした女子高生3人が暮らしていた。

自分と学校の他にはなにもないけれど、なぜか生活には不自由しない世界。しかしある日突然、何もなかった海に不思議な空間・ココロトープが出現する。

自分の内心を映し出すココロトープと向き合いながら、世界の秘密を暴いていく・・・という話。

 

イリヤ」のようにきみとぼくだけで崩壊寸前の世界を救う的なものが古典的セカイ系の世界観だと思っていますが、崩壊する世界というお約束を踏まえつつも、なぜか戦闘モードに変身できる美少女たちだけが箱庭の中だけで活躍する点がユニークなところです。

 

ゲーム性

  • コンボをつなげて高火力で殴る爽快感があるバトル
    初期設定の難易度だと適当に殴っても勝てちゃうので、戦略が功をなすのは高難度が選べる2周目以降ですね。
  • 何かにつけてボディタッチの多いコミュニケーションをしあう(=イチャイチャする)登場人物たちを眩しく眺める日常シーン
  • 岸田メルの可愛いイラストそのままのキャラクターを動かせること
  • とっつきやすい素材集め→クラフト要素

あたりがメインの要素ではないでしょうか。特に2つ目と3つ目。

 

思ったことをつれづれと

ストーリー展開(とそれに伴う登場人物の投入)に関しては、自分の頭の中で予想しているピースがほぼそのまま当てはまった感じで進行しました。話を辿ったときに出てくるであろうFAQはだいたい主人公の愛央ちゃんが聞いてくれます。

ストーリーの本筋に関しては上述の通り期待通りに進むこともあってかあまり心躍らずじまい。自分(29歳男性)はもはやメインターゲット層から離れつつあるのかと悲しい自覚も少し。単に自分はもとから王道ストーリーはそれほど好きではなくて、全体の雰囲気や演出によってごまかされていただけかもしれません。

一方で登場人物の魅力は十二分に伝わってきます。最初から登場する初期メンバーは①快活リーダー②おっとり③おねえさん+理系④妹+いたずらっ子 といった属性構成。そして今のメンバー構成から考えると次にこういう属性の子が来てほしいと思ったらだいたいその通りに来ます。というか、登場前から存在が示唆されるストーリー構成なので、次にくるべきキャラクター像が早い段階で出来上がるんですね。

そうして登場したキャラの関係性は丁寧に組み上げられ、それが彼女たちの緻密な表情やしぐさ、サブストーリーによって表現されていてとてもよかった。登場人物の誰もが、極限まで理想的にピュアで美しく、その眩しさでプレーヤーの心がきゅっとつかまれてしまいます。仲良くなったら手つなぐし尊いね・・・。

 

音楽の効能

そしてここまで述べたモノが強く記憶に残っているのは音楽の効能にほかなりません。

ボス戦に入る直前、デート、それぞれのココロトープ(ダンジョン)。場所(映像)が音楽と密接に関係して記憶に残り、音楽を聴くたびに映像が脳裏に想起されます。

映像が決して荒いわけではないんですよ。むしろ逆で、特に学校のフィールドやココロトープには多数の小物が置かれているおかげで、キャラクターの生活感というか実在感が視覚から際立ってくるのです。

そして青空から建物、小物、壁の掲示物、キャラクターの毛先までディテール細かく描写するグラフィックに対し、絵筆でじっくりインクを染み込ませていくように、音楽が耳から脳の奥底に浸透してくる。

このゲームにおいて音楽(聴覚)は表現の主役ではなくて引き立て役なんだろうと思うのですが、ゲームの感想を語るには外すことはできません。

ゲームの二度目はもういいかなと思うけど、サントラはほしい。音楽を通じて登場人物の雰囲気を、ゲームの世界観まるごと心に留めておきたい。そんな気持ちにさせる音楽でした。

 

 

個人的には、手に汗握るバトルで興奮したりストーリーで心が強く揺さぶられたりはしなかったけれども、全体で見るとイラストと音楽の両輪で素敵な雰囲気が醸成されていて、その雰囲気に浸っている間の心地がとてもよかったなぁという稀有なゲーム体験でした。